プロジェクトマネジメントPM講座
BSI講義要約 

公共建築におけるプロジェクトマネジメント

公共建築マネージメントの課題と動向

講義日:2003/9/17 講師名:宮田 章

求められる手法確立

公共建築の現状;平成15年のわが国の建設投資額は54兆円、そのうち政府投資は22.9兆円、民間投資は31.1兆円である。平成4年建設投資額の84兆円をピークに減少しているが、84兆円は世界の1/4、現在の中国の建設投資額が40兆円であるから、その投資額は長大である。また、財政赤字(長期債務残高)は680兆で増え続けている。この状況で公共工事は、「投資の削減、ハコモノへの批判、コスト削減、民間資金の活用」が求められ、公共建築では

  1. CS=Customers Satisfaction(顧客満足度)
  2. Accountability(説明責任)
  3. 環境問題=都市のコンパクト化
  4. LLC=Life Cycle Cost

について具体的な手法確立と解決が求められている。

 

具体的手法

公共建築批判の事例から;近年批判の事例として「刈羽村生涯学習センター」をあげる。茶室の畳の設計仕様と実際に納入された畳が安価であったことの報道に端を発し、最終調査によると340ヶ所の無断設計変更がされ、工事費60億円の内3億4000万円が返納された例である。また、年間予算規模2億6000万円の刈羽村で原子力発電所関連の補助金を利用した施設の妥当性も考えてさせられる。このトラブルの原因としては

  1. 発注側の力量不足
  2. 設計者の力量不足
  3. 設計変更の過多
  4. 設計図と内訳書の不整合

が上げられる。つまり①~④の理由を概観すれば

  • A.「企画・設計・施工のシステム」が機能しなかったこと。
  • B.「入札契約」の問題。
  • C.「企画段階からの建設・運用事業の妥当性」

という課題の解決がが求められたといえる。以下A~Cの解決法として具体的手法を考察する.

 

A.「企画・設計・施工のシステム」の潤滑材として⇒CM(Construction Management)方式

主に米国方式でコンストラクションマネージャー(CMR)が、発注・設計・施工の各段階で関連の各種マネージメント業務を発注者に代わり代行する業務である。これにより上記の①~④の問題等に関する調整機能が期待される。企画段階より加わる場合PM(Project Management)と呼ばれ「PM/CM方式」とも呼ぶ。また、建設リスクをCMRに負わせる場合「アットリスクCM」といい、わが国の総合請負業者(JE)がCMRの役割を一部果たしている。しかし米国では、

  • 「設計図書の完成度が高い」こと
  • 工事費用支払時に施工者の支払代金領収書をも表示する「オープンブック方式」の採用による高い透明性の上にCMが成立していること

を考慮すべきである。

よくわが国の設計図書の低さを指摘されるが、以下設計者としての私論として「オープンブック方式」が設計図書の質の向上にも寄与するのではないかと思う。わが国の設計図書の低さは、

  1. .設計業務がJE設計部門と同等であるイメージ
  2. .見積りの中に設計見積価格、請負業者価格、実行支払の3段階の価格構成が存在することによる。

1.は実際にJE設計部門で作成される設計図書は公共建築ほどの完成度は高くないのが通常であり、工事利益も考えむしろ現場での設計決定裁量が大きい。また商習慣と現場及び下請けの自由裁量を高める為2.の価格構成があり、本来設計費・一般管理費とするべき価格が各種直接工事費に含まれる実態がある。公共工事でも設計変更増減・出来高査定は、設計見積において行われ請負業者見積は査定されないであろう。この不透明さが設計という目に見えにくいサービスの価値をより見えないものにし、設計料の低下をもたらし設計図書の質の低下をもたらす。

「オープンブック方式」「コスト+フィー方式」による透明性が設計図書の質の向上をもたらし、より効果的なCM方式につながるように思える。.

 

B.「入札契約」最低価格・実績から⇒総合評価落札方式・デザインビルド

総合評価落札方式とは、価格(X)以外に機能・性能(Y)等他の要素も評価する試みである。除算方式(X/Y.国で採用)加算方式(X+Y.都採用)がある。デザインビルドは「設計・施工分離」の原則から「設計・施工技術の一体的活用」を目指すもので、わが国ではドーム建築に多く採用されている。上記の②③具体的適応には難しいが、工事契約時に施工の視点から設計を見直すことに意義があると思える。

 

C.「企画段階からの建設・運用事業の妥当性」⇒PFI(Private Finance Initiative)

設計・建設・維持管理・運営に民間の資金とノウハウを活用し、サービスを民間主導で行い、効率的・効果的公共サービスを計る事業手法。具体的にはPSC(Public Sector Comparator=従来手法の負担額)を算定し、民間提案のVFI(Value For Money=効率的運用)を比較し決定する方式である。すべてのプロセスをもっともオープン化し、民間の実務的な活力を生かす方法と言える。ただ実行には相当の費用もかかるため十分な予算規模が必要とされる。最後に十分な改修のための予算がない場合、エネルギーの安くなった分で改修するESPC(Energy Serving Performance Contract)もしくはESCO(Energy Service Company)を紹介する。


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